中華料理の名前には、普段日本では使わない難しい漢字が使われていることが多く、何と読めばいいのかわからずに困ってしまうときがあります。
今回の記事では、難しい漢字で表された中華料理名の読み方を紹介したいと思います。
北京料理のメニューの読み方とその料理の特徴を解説
中国貴族が食べる宮廷料理を原点とした、見栄えの良い立派な料理が多いことで知られている北京料理は、魚よりも肉料理を主とし、塩味が強めでこってりとした味付けが特徴的。
そんな北京料理の代表的なメニューの種類と料理名の読み方や特徴を紹介していきます。
北京烤鴨 (ペイチンカオヤー) 北京ダック
北京ダックは、下処理をしたアヒルを窯で丸ごと焼き上げた北京料理を代表するメニューです。
表面がパリパリに焼きあがったアヒルを削ぎ切りにして、甜麺醤(テンメンジャン)という中華風の甘辛みそとネギやキュウリを、小麦粉から作られた薄餅(パオビン)に包んで一緒に食べます。
北京ダックに使われるアヒルは普通のアヒルではなく、あえて運動不足にしながら栄養価の高い食事で太らせた、北京ダック専用のアヒルを使用することが多いです。
成吉思汗 (ジンギスカン)
ジンギスカンは羊肉を使う焼肉料理で、中国の烤羊肉(カオヤンロウ)という羊肉料理を日本人が日本人向けにアレンジして作り出した日本発祥の中華料理といわれています。
ジンギスカンは鍋料理として提供されることもありますが、基本的には鉄板焼き料理という分類です。
使われる羊肉は1種類ではなく、成羊肉であるマトンや仔羊肉のラムなどが使われます。
酸辣湯麺 (サンラータンメン、スーラータンメン)
酸辣湯というお酢、唐辛子、胡椒が効いた酸味と辛味が味わえる中華スープに茹でた麺を入れた料理が酸辣湯麺です。
酸辣湯に入れる代表的な具材には、しいたけ、タケノコ、溶き卵、きくらげ、豆腐、鶏肉などが挙げられます。
饅頭 (マントウ) 包子(パオズ)
饅頭は中国の蒸しパンのことで、小麦粉に酵母を入れて発酵させた後に、蒸すことで完成させます。
具を入れない中華まんのような食べ物をイメージするとわかりやすいです。
北京料理発祥の地である中国の東北地方は、とても寒くて雨が少ない地域で、米の栽培には適していませんが小麦の栽培には適しています。
そのため、東北地方の人たちは米を主食とせずに、小麦を材料とした饅頭や麺類を主食としています。
また、豚肉などの具の入った饅頭は包子(パオズ)と呼ばれており、日本の中華まんの原型となりました。
餃子 (ギョーザ、チャオズ)
餃子は、小麦粉から作られる薄皮にひき肉や野菜が入った餡を包んで、蒸したり、焼いたりして食べる中華料理。
日本で餃子といえば焼き餃子ですが、中国での餃子といえば水餃子が一般的です。
刀削麺 (ダオシャオミエン、トウショウメン)
刀削麺は、煮立った鍋に水で練った小麦粉の生地を包丁で削ぎ落としながら茹でるという独特の調理方法を用いる麺料理。
ラーメンのようにスープに入れて食べたり、麺の上にあんをかけて食べたりするなど、様々な食べ方があります。
この調理方法は珍しいため、削ぎ落としながら麺を茹でる様子をパフォーマンスとして行うことで客寄せをする店も多いです。
杏仁羹 (キョウニンカン) 杏仁豆腐 (アンニンドウフ)
杏仁豆腐は中国発祥のデザートです。
日本では杏仁豆腐(アンニンドウフ)という呼び方が一般的ですが、中国では杏仁羹 (キョウニンカン)と呼ばれています。
杏仁豆腐は薬膳料理の一種でもあり、喘息の治療薬として用いられるあんずの種の中にある杏仁を粉末状にしたものを飲みやすくするための料理として作られました。
あんずの種の中にある杏仁は苦いため、食べやすくするために甘い味付けに調理されています。
四川料理のメニューの読み方とその料理の特徴を解説
痺れるような辛さを味わえる四川料理は、日本において四大中華料理の中で一番人気がある料理に挙げられるほど、日本人に親しまれています。
四川料理は、唐辛子、胡椒、花椒を多用した刺激的な辛さを特徴とする料理が多いことで有名。
麻婆豆腐など日本人に馴染みのある料理もありますが、日本ではあまり知られていない四川料理もあるため、ご紹介していきたいと思います。
麻婆豆腐 (マーボードーフー、マーボードウフ)
麻婆豆腐は四川料理の代表的な料理の1つで、真っ赤な色合いと麻辣と呼ばれる痺れるような辛さを味の特徴とする豆腐料理です。
ひき肉や赤唐辛子、花椒、豆板醤などを炒め、鶏がらスープを入れて豆腐を煮ることで完成させます。
中国で食べられている味付けだと日本人にとっては辛すぎるため、日本で作られる場合には辛味を抑えるために、痺れるような辛さを出す花椒をあまり入れずに調理することが一般的です。
しかし、近年では激辛ブームが巻き起こったこともあり、中国で食べられている麻婆豆腐そのままの味を提供する中華料理店が増えたため、現在の日本では本場の麻婆豆腐を味わえる中華料理店がたくさん存在しています。
魚香肉絲 (ユーシャンロースー)
魚香肉絲は四川料理の定番メニューの一つで、酸味のある甘辛い味付けが特徴的な料理です。
豚肉、たけのこ、ニンニク、きくらげなどを細切りにして、魚香と混ぜ合わせて炒めます。
魚香(ユーシャン)とは、中華料理で一般的に使われる調味料のことで、材料には泡辣椒、白ネギ、ニンニク、ショウガが用いられることが一般的です。
大千干焼魚 (ダーチェンガンシャオユー)
大千干焼魚は伝統的な四川料理の一つで、カリッと揚げた魚を、野菜や豆板醤、唐辛子などを使った辛味のあるソースで煮込んだ魚料理です。
使用する魚は淡水魚を使うことが一般的で、さっぱりとした味わいの魚に辛味のある濃い味付けのソースが良く合います。
宮保鶏丁 (ゴンバオジーディン)
宮保鶏丁は鶏肉と一緒にピーナッツや唐辛子を入れて炒めた四川料理です。
調理する際には、通常炒める火力よりも強めの火力で短時間の内にサッと加熱して仕上げる調理方法が用いられます。
夫妻肺片 (フーチーフェイピィエン)
夫妻肺片は、牛タンやレバーと香辛料を合わせて煮込んだ四川料理です。
四川地域在住のとある夫婦が、牛の内臓を調理することでこの料理を完成させたため、料理名には夫妻という言葉が入っているといわれています。
鶏豆花 (ジードゥーホワ)
鶏豆花は、豆腐や鶏のすり身が入ったスープ料理です。
この料理に使われる豆腐は普通の豆腐ではなく、豆花(ドウホワ)という中国の伝統製法から作られた豆腐を使います。
豆花(ドウホワ)は、大豆から抽出した豆乳を硫酸カルシウムなどの凝固剤で固めて形作ったもので、日本の絹ごし豆腐よりもさらに柔らかいゼリー状のような豆腐です。
豆花の食感を良くするために研究は重ねられ、現在では凝固剤にでん粉を用いるなどして、なめらかな食感を作り出せるようになりました。
開水白菜 (カイシュイパイツァイ)
開水白菜は、白湯のように透き通った薄味のスープに白菜を入れた料理で、沸騰したお湯に少量の塩、うまみ調味料、胡椒で薄い味付けをしたスープ料理です。
中国では中華スープなどを湯、熱湯を開水と表現。
この料理の名前には開水という言葉が入っていることから、濁りがなく透き通るようなスープ料理を想像することができます。
回鍋肉 (ホイコーロー)
回鍋肉は四川料理の代表的な料理の一つで、茹でた豚肉や野菜を唐辛子や豆板醤で辛い味付けにした料理。
回鍋肉は日本でも親しまれている中華料理で、本場の中国料理と比べると甘辛い味付けが特徴的です。
青椒肉丝 青椒肉絲 (チンジャオロースー)
青椒肉絲はピーマンなどの野菜や豚肉を細切りにして、醤油や酒、オイスターソース、豆板醤、胡椒、ニンニク等の調味料で味付けして炒めた辛味のある料理です。
青椒肉絲は中国や日本だけでなく、アメリカやヨーロッパでも食べられており、使われる食材や味付けは、その国の人々の好みに合わせて作られます。
例えば、アメリカ人は豚肉よりも牛肉を好むため、アメリカでは牛肉を使用した青椒肉絲が提供されることが多いです。
干烧虾仁 干焼蝦仁 (カンシャオシャーレン) 海老のチリソース煮 エビチリ
干焼蝦仁は海老のチリソース煮のことで、日本では通称エビチリとして親しまれています。
本場中国のエビチリの味付けには豆板醤を多用しますが、エビチリのレシピが日本に広まり始めた頃の日本人は豆板醤の辛さに慣れていなかったため、豆板醤の代わりにケチャップやスープの素を使ってエビチリを作っていました。
豆板醤を入れずにケチャップやスープの素でエビチリを作ることで辛さを抑えることができたため、日本の家庭でもエビチリを作りやすくなり、次第に日本で受け入れられるようになりました。
棒棒鶏 (バンバンジー)
棒棒鶏は、蒸したり焼いたりして調理した鶏肉に、芝麻醤などのソースをかけた中華料理です。
下準備した鶏肉を棒で叩くことで柔らかく仕上げていたことから、棒棒鶏と名づけられました。
中国では鶏肉以外の他の具材を加えずに調理されることが一般的。
唐辛子の辛味が効いた四川料理を代表する料理の一つです。
口水鶏 (コウシュイジー) よだれ鶏
口水鶏は四川料理の前菜メニューとして人気のある料理です。
日本では口水鶏という呼び方よりも、よだれ鶏という呼び方で親しまれています。
茹でた鶏肉にラー油、花椒、黒酢、しょうがなどを合わせた酸味のあるピリ辛タレをたっぷりとかけた料理。
広東料理のメニューの読み方とその料理の特徴を解説
温暖な気候からさまざまな種類の野菜やフルーツ、魚介類などの豊富な食材が収穫できる広東地域は、食材の宝庫と呼ばれるほど有名。
広東料理の中で使用される食材で有名なものは、フカヒレやアワビといった高級な魚介類が挙げられます。
ここからは、広東料理の代表的なメニューの種類と料理名の読み方や特徴を紹介していきます。
咕咾肉(グーラオロー) 香醋肉塊(シャンツーロウカイ) 酢豚
咕咾肉や香醋肉塊とは酢豚のことで、日本の家庭や中華料理店でもよく食べられる広東料理の代表的なメニューの一つです。
下味を付けた角切りの豚肉を主な材料として調理され、衣をつけて揚げた豚肉に甘酸っぱいあんを絡ませることで完成させます。
日本では酢豚のレトルト食品がスーパーで販売されていたり、街のお弁当屋さんのメニューに酢豚があったりするなど、だれでも気軽に酢豚を食べることが可能です。
酢豚は世界的にも有名な料理で、アメリカでは甘酢あんの代わりにケチャップで作られたあんを絡ませて食べられています。
魚翅湯 (ユイチイタン) フカヒレスープ
魚翅湯はフカヒレスープのことで、食用のサメの背びれを主な食材とした高級なスープ料理です。
中国で販売されているフカヒレは形状や大きさによって、散翅(サンチー)、魚翅(ユイチー)、排翅(パイチー)、天九翅(テンジュウチー)の4種類に分類されています。
形状や大きさが原型を留めているほど価格が高くなり、バラバラな状態で形状が原型を留めていないフカヒレであれば、安価な値段で購入することが可能です。
芙蓉蟹 (フーヨーハイ) かに玉
芙蓉蟹はかに玉のことで、溶き卵に蟹肉を入れて調理し、甘酸っぱいあんをかけて完成させる広東料理を代表する卵料理です。
日本の中華料理店にある天津飯は、芙蓉蟹を元に日本人がアレンジして作り出した料理だといわれています。
烧卖 (シャオマイ) 焼売 しゅうまい
焼売はひき肉や玉ねぎ、白菜などの野菜を主な食材とした点心料理です。
味付けされた餡を小麦粉の皮で作られた皮に包んで、蒸し器で蒸すという方法で調理されます。
焼売は日本人にも馴染みがある代表的な中華料理の一つ。
近年では一から手間をかけて作らなくても、スーパーで冷凍食品の焼売を買うことができるため、いつでも誰でも気軽に焼売を食べることができます。
八宝菜 (パーパオツァイ) はっぽうさい
八宝菜は、豚肉などの肉類やエビやイカなどの海鮮類、白菜やチンゲンサイにしいたけなどの野菜類を具材にして炒め合わせる料理です。
八宝菜の中に入れる料理は必ずしも決まっているわけではなく、食べる人の好みに合わせて決められることが一般的。
塩、醤油、酒などの調味料で味付けをしたスープで少し煮込んで、水溶き片栗粉でとろみをつけて完成させます。
上海料理のメニューの読み方とその料理の特徴を解説
上海がある東方地域は、蟹やエビなどの魚介類が豊富で、上海蟹の姿蒸しなど、新鮮な魚介類の素材の味を生かした料理が有名です。
上海料理にも数多くのメニューが存在しており、その中には難しい漢字が使われている料理もありますので、ご紹介していきたいと思います。
小籠包 (シャオロンバオ、ショウロンポー)
小籠包は中国や台湾で親しまれている点心料理の一つです。
豚ひき肉を小麦粉から作られた薄皮で小さく包み、蒸すことで完成させます。
薄皮の中には具材と共にスープが入っており、食べたときに熱々のスープが口の中に広がることが大きな特徴です。
上海炒麺 (シャンハイチャウミン) 上海焼きそば
上海炒麺は上海焼きそばのことで、中華麺を肉や野菜とともに炒めた麺料理です。
中国や日本だけでなく、アメリカやインドなど海外でも人気がある中華料理で、それらの国ではレストランのメニューとして存在しています。
揚州炒飯 (ヤンジョウチャオファン) 五目チャーハン
揚州炒飯は五目チャーハンのことで、肉や野菜、魚介類などのさまざまな具材をご飯とともに炒める中華料理の定番メニューです。
近年では、粉末状の五目チャーハンの素がスーパーなどで販売されており、家庭で簡単に五目チャーハンの味を再現できるようになりました。
清蒸大闸蟹 (チンジョンダジャシェ) 上海蟹の姿蒸し
清蒸大闸蟹は上海蟹の姿蒸しのことで、上海料理の代表的なメニューです。
上海蟹をひもで縛って蒸すというシンプルな料理で、素材の味を生かした料理として有名。
上海蟹はお土産としても人気があり、上海で買えるのはもちろんのこと、インターネットでも購入することが可能です。
東坡肉 (トンポーロウ、ドンポーロウ) 豚の角煮
東坡肉は豚の角煮のことで、皮つきの豚肉を揚げたり、茹でたりして余分な脂を取り除き、醤油や酒、砂糖などの調味料で煮込んだ料理です。
本場中国では、砂糖を多めに使用して甘辛く仕上げます。
中国料理の漢字がわかるおすすめの書籍を紹介
中国料理小辞典
プログレッシブ中国語辞典 第2版
まとめ
以上、今回は難しい漢字で表された中華料理名の読み方をご紹介しました。
中国料理の歴史は4千年と、とても古くから存在する伝統的な料理で、今回ご紹介した料理以外にもたくさんのメニューの種類が存在します。
日本にある高級な中華料理店では、今回ご紹介したような難しい漢字のみで書かれているメニューを出すお店もあるため、事前にメニューの読み方やその料理の特徴を把握しておき、スムーズに注文できるようにしておきましょう。