「福祉の仕事が合わない」と結論を出す前に、何が合わないのか整理してみませんか。

福祉の仕事をしていると、一度は「自分には向いていないのかもしれない」と感じることがあると思います。

  • 利用者さん対応がうまくいかない
  • 人間関係に疲れてしまった
  • 仕事へ行くことを考えるだけで気が重い

そんな状態になると、「福祉の仕事そのものが合わない」と考えてしまいがちです。

しかし実際には、福祉の仕事全体が合わないのではなく、特定の業務や環境に強いストレスを感じているだけの場合もあります。

まずは何が負担になっているのかを整理してみることが大切です。

まず、どのように仕事が合わないのか

福祉施設での一番の仕事は利用者さん対応になります。

そのため、利用者さん対応にストレスを感じている場合は、どのような部分に負担を感じているのか考えてみることが大切です。

人によって負担を感じるポイントは違います。

例えば、

  • 利用者さんとうまく関係性を構築できない
  • 利用者さんとのコミュニケーションが苦手
  • おむつ交換や排泄介助などの汚物処理に抵抗がある
  • 利用者さんの命に関わる業務へのプレッシャーが大きい
  • 利用者さんからの暴言や暴力による精神的負担
  • 苦手な利用者さんとの接し方が分からない

などが考えられます。

また、利用者さん対応以外の業務にストレスを感じている場合もあります。

例えば、

  • 調理が苦手
  • 記録業務が苦手
  • マルチタスクが苦手
  • テキパキと業務をこなすことが苦手

などです。

だからこそ、「福祉が合わない」と考える前に、自分がどのような部分に負担を感じているのかを見つめ直してみることが大切だと思います。

福祉そのものが合わないとは限らない

まず考えたいことは、

福祉の仕事自体が嫌なのか。

それとも今後も福祉の仕事は続けたいけれど、特定の業務に苦手意識やストレスを感じているのか。

あるいは、今勤めている職場の人間関係が原因なのか。

ということです。

もし人間関係が大きな原因になっているのであれば、他の施設へ移ることで改善する場合もあります。

実際に、

  • 老人ホームが合わなかった人が、グループホームでは長く続いた
  • 入浴介助が苦手だった人が、生活支援中心の職場では活躍できた
  • 人間関係が悪い施設を辞めたことで、無理なく働けるようになった

というケースもあります。

だからこそ、

「福祉が合わない」

と一括りにしてしまう前に、

「何が合わないのか」

を整理してみることが大切だと思います。

人間関係が原因になっている場合もある

福祉職を辞めたいと思っていたけれど、実際は職場の人間関係が原因だった。

これは決して珍しいことではありません。

利用者さん対応そのものは嫌いではない。

仕事の内容にもやりがいを感じている。

それでも職員同士の人間関係に疲れてしまい、仕事そのものが嫌になってしまうことがあります。

その場合は、福祉の仕事を辞める前に、職場環境を変えるという選択肢も考えてみる価値はあると思います。

働き方が合っていない可能性もある

仕事内容ではなく、働き方が合っていない場合もあります。

例えば、

  • 日勤が苦手
  • 夜勤が苦手
  • シフト勤務が苦手

という人もいます。

逆に、

  • 夜勤専従になったことで精神的に楽になった
  • 人との関わりが少ない働き方になって続けやすくなった

という人もいます。

仕事そのものではなく、働き方との相性が問題になっているケースもあるため、一度考えてみる価値はあると思います。

利用者さんとの相性が原因になっている場合

利用者対応がうまくできない問題も、もしかすると勤め先に入居されている利用者さんとの相性が原因かもしれません。

実際、私自身も、最初はどう接していいのか分からず苦手意識を持っていた利用者さんがいました。

関わる期間が長くなるにつれて、その人なりの考え方や生活歴が少しずつ見えてきたこともあります。

一方で、最後まで苦手意識がなくならなかった利用者さんもいました。

それでも、苦手な利用者さんがいること自体は特別なことではないのだと思います。

ただ、どこの施設にも様々な性格や特性を持った利用者さんがおられます。

相性の良い利用者さんもいれば、どうしても苦手意識を感じてしまう利用者さんもいると思います。

そのため、

「苦手な利用者さんがいるから転職する」

という選択を繰り返してしまうと、転職先でも同じ悩みに直面する可能性があります。

もちろん、暴言や暴力が日常的にあり、職員の安全が守られていない環境であれば話は別です。

しかしそうではない場合、一度利用者さんとの距離感や接し方を見直してみることも大切だと思います。

また、転職した場合は新しい職場で人間関係や業務内容を一から覚えなければなりません。

どの職場にも、その職場特有のストレスは少なからず存在します。

だからこそ、利用者対応のやり方そのものを見直してみることも大切だと思います。

利用者対応に悩んだときに考えたいこと

利用者さん全員に好かれようとしない

福祉職は優しい人が多いので、

「嫌われてはいけない」

と思いがちです。

しかし、人と人との関係である以上、相性はあります。

全員と仲良くなる必要はありません。

必要なのは適切な支援を行うことです。

もし、相談できる職員がいる環境なら、苦手な利用者さんへの対応を自分一人で行うのではなく、他の職員と連携して対応するなど、日常的な支援のやり方を変えてもらえるように相談してもいいかもしれません。

もちろん、福祉施設の現場が人手不足で、一人で対応しなければならない場面があることは承知しています。

ただ、福祉の仕事が合わないと感じる原因が、個人の努力だけでは解決できない場合もあります。

職場の支援体制や人員配置、相談しやすい環境づくりも重要なのではないでしょうか。

福祉の仕事が合わないと感じている職員がいるのであれば、それは本人だけの問題ではなく、職場全体で考えるべき課題なのかもしれません。

感情移入しすぎない

利用者さんの人生や苦しみに触れる機会が多いのも、福祉の仕事の特徴だと思います。

そのため、真面目な人ほど利用者さんのことを考えすぎてしまったり、自分のことのように悩んでしまったりすることがあります。

もちろん、利用者さんを大切に思う気持ちは必要です。

しかし、支援者と家族は違います。

利用者さんの人生そのものを背負うことはできません。

利用者さんを優先して考えることは大切ですが、自分自身が疲れ切ってしまっては、良い支援を続けることも難しくなってしまいます。

だからこそ、利用者さんとの適切な距離感を持つことも、福祉の仕事を続けていく上では大切なことなのだと思います。

もし今後も福祉の現場で働いていこうと考えているのであれば、自分を守りながら働くことも忘れないでほしいと思います。

一人で抱え込まない

苦手な利用者さんがいること自体は珍しいことではありません。

一人で悩み続けるのではなく、先輩職員や管理者へ相談してみることも大切です。

自分では思いつかなかった対応方法が見つかることもあります。

また、長く福祉の現場で働いている職員であっても、利用者対応に悩むことはあります。

自分だけがうまくできていないと思ってしまうこともあるかもしれません。

しかし、福祉の仕事は一人で利用者さんを支える仕事ではなく、職員同士で連携しながら支援していく仕事でもあります。

困ったときは周囲を頼ることも大切な支援技術の一つなのだと思います。

完璧な対応を目指さない

福祉の仕事は正解がない場面も多くあります。

経験を積んでも迷うことはありますし、最初から完璧にできる人はいません。

利用者さん一人ひとり性格も違えば、生活歴も違います。

昨日うまくいった対応が、今日はうまくいかないこともあります。

そのため、「こうすれば必ず正解」というものが存在しないことも少なくありません。

真面目な人ほど、

「もっと良い対応ができたのではないか」

「あの声かけは間違っていたのではないか」

と自分を責めてしまうことがあります。

しかし、利用者さんと向き合いながら考え続けている時点で、十分に支援をしているのだと思います。

さらに言うと、利用者対応という仕事は決して簡単なものではありません。

同じ対応が全員に通用するわけではなく、その人に合った個別支援が求められます。

だからこそ、介護福祉士をはじめとした様々な資格があり、現場では研修が行われているのだと思います。

それだけ奥が深く、学び続けることが求められる仕事なのかもしれません。

そう考えると、

「利用者対応を完璧にこなさなければならない」

という考え方自体が、少し苦しくなってしまうこともあるように思います。

福祉の現場では、多職種連携という言葉があります。

利用者さんを支えるのは一人の職員ではありません。

職員同士が連携し、それぞれの視点や経験を持ち寄りながら支援を行っています。

一人で抱え込み、一人で完璧を目指す必要はありません。

少しずつ経験を積みながら、自分なりの対応方法を見つけ、周囲と協力しながら利用者さんと向き合っていけばいいのではないでしょうか。

それでも合わないと感じる場合は

ここまで、福祉の仕事が合わないと感じたときに考えたいことを書いてきました。

しかし、色々と考えたり工夫したりしても、

「今の職場ではどうしても働き続けることが難しい」

と感じることもあると思います。

その場合は、無理を続けるのではなく、別の職場や働き方を探してみることも選択肢の一つです。

実際に、職場環境を変えたことで働きやすくなった人もいます。

福祉の仕事そのものが合わなかったのではなく、今の職場との相性が合わなかったということもあるかもしれません。

福祉職の転職について考えたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

まとめ

福祉の仕事が合わないと感じているときは、自分の努力不足や能力不足だと考えてしまうことがあります。

しかし実際には、自分では気づいていない様々な要因が影響していることも少なくありません。

だからこそ、すぐに「向いていない」と結論を出すのではなく、まずは何が負担になっているのかを整理してみることが大切なのだと思います。

また、利用者対応に悩んだときも、一人で抱え込みすぎないことが大切です。

福祉の仕事は一人で完結する仕事ではありません。

職員同士が連携しながら利用者さんを支えていく仕事です。

悩んだときは周囲を頼り、必要であれば働き方や職場環境を見直すことも選択肢の一つだと思います。

私自身、福祉の現場で働く中で、「向いているかどうか」よりも、「何に負担を感じているのか」を考えることの方が大切だと感じています。

もし今、福祉の仕事が合わないと感じているのであれば、自分を責める前に、一度立ち止まって整理してみてはいかがでしょうか。

そこから見えてくるものもあるかもしれません。