餃子とはどのような食べ物?
餃子とは、小麦粉から作った皮に、豚肉や野菜を混ぜ合わせて作った餡を一口サイズの半月形に包み、加熱することで完成させる中華料理の代表的なメニューです。
餃子の調理方法は、焼く、蒸す、揚げる、茹でる、など多岐に渡り、調理方法によって食感や味わいが変わってきます。
【代表的な餃子の種類】
- 焼き餃子
- 蒸し餃子
- 揚げ餃子
- 水餃子
焼き餃子や揚げ餃子は油を使って調理するため、ボリューム感のあるジューシーな味わいが特徴的。
蒸し餃子や水餃子は油を使わずに調理が可能で、焼き餃子や揚げ餃子と比べると油分が少なく、少しでもカロリーを抑えたいダイエット中の方に人気です。
餃子は世界各国で食べられている料理なので、国や地域によって使われる具材は様々ですが、日本の餃子には、豚ひき肉、キャベツ、ニラ、ニンニクなどが用いられることが一般的です。
また、餃子は栄養バランスの良い食べ物としても有名で、餃子を食べるだけで、人間が活動をする上で必要となる五大栄養素全てを摂取することができる完全食としても注目されています。
餃子の餡として用いられる肉類や野菜類からは、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル、餃子の皮からは、炭水化物を摂取することが可能です。
日本の餃子と中国の餃子の違いとは?
日本のラーメン屋で餃子を注文すれば、当然のように焼き餃子が提供されます。
しかし、中国では日本のように焼き餃子が主流ではなく、水餃子が主流です。
このような違いは他にもあり、日本の餃子と中国の餃子には様々な違いがあります。
【日本の餃子と中国の餃子の違い】
- 餃子の食べ方
- 餃子の皮の食感や分厚さ
- 調理方法
- 餡に用いられる具材の内容
- 食文化の違い
それでは1項目ずつ詳しくみていきましょう。
中国では餃子は主食!白ご飯のおかずにはしない
「餃子を食べるとき、白ご飯は欠かせない!」
このように感じる日本人は多いと思います。
しかし、中国では餃子と一緒に白ご飯は食べません。
なぜなら、中国では餃子は主食として食べられているからです。
中国の人からすると、日本の王将のメニューにある餃子定食はとても奇妙な組み合わせに感じます。
例えば、海外の人がお寿司をおかずに白ご飯を食べているのを想像すれば、日本人の誰もが奇妙に感じるはず。
中国の人から見た餃子に白ご飯という組み合わせは、このように見えているのかもしれません。
餃子の皮の食感や分厚さに違いがある
日本の餃子の皮は薄く、焼き目をつけたときにカリッと仕上がるのが特徴で、中国の餃子の皮は分厚くもちっとしており、食べ応えがあるのが特徴です。
日本の餃子の皮は、市販の餃子の皮を見るとわかるように、シンプルで簡易な印象がありますが、中国では餃子を食べるときには主食として食べるため、日本人よりも餃子の皮にこだわりがあります。
中国ではその家庭オリジナルの餃子の皮をいつも手作りで用意することが一般的なため、中国の人は皆、分厚くもちもちした美味しい皮で作られた餃子を子供の頃から食べ慣れています。
日本人が中国を訪れて餃子を食べたときに、もちもちした皮に感動する人が多いですが、中国の人からすれば当たり前すぎるため、日本人が何に感動しているのかあまり理解できないようです。
日本では焼き餃子、中国では水餃子が主流
「中国では焼き餃子ではなく、なぜ水餃子が主流なの?」
餃子の基本を焼き餃子として考えてしまうと、このような疑問が湧き上がるかもしれません。
しかし、日本の焼き餃子は、中国の水餃子をもとに日本で独自に進化した料理です。
そのため、基本形が焼き餃子と捉えるのではなく、水餃子と捉えることが正しい認識となります。
諸説がありますが、第二次世界大戦のために中国へ行った関東軍の引揚者たちが、戦後の日本に餃子を広めたという有力な説があります。
引揚者たちが中国で食べた水餃子を作ろうとしたときに適当な鍋がなく、鉄板で餃子を焼いたことが、日本での焼き餃子の始まり。
当時の日本には水餃子を紹介する料理本などはなく、引揚者たちが作った焼き餃子が正しい餃子のレシピとして広まったとされています。
中国の餃子はニンニクを入れないことが当たり前
日本の餃子にはニンニクを入れることが当然とされていますが、中国では基本的に餃子にニンニクは入れません。
中国では餃子とニンニクを別々に食べるのが当然のことで、中国の人は餃子を食べながら生のニンニクを丸ごとかじります。
そのような習慣があるため、中国の人はニンニクが入っている日本の餃子をとても奇妙に感じるようです。
中国ではお祝いの行事で餃子を食べるという文化がある
餃子はとても美味しい料理ですが、日本では特別な料理というわけではありません。
しかし、中国では、お祝い事や記念日などの特別な行事に餃子を食べるなど、縁起の良い食べ物として扱われています。
春節には長寿を願って餃子を食べたり、大晦日に年越し餃子を食べたりと、餃子は中国の食文化を語る上で欠かせない大切な料理です。
日本の餃子の特徴
- 薄めの皮を用いる
- 焼き餃子が主流
- 豚ひき肉、キャベツ、ニラ、ニンニクを使用して餡を作るのが一般的
- 餃子を盛り付けるときは、焼き目の側を上向きに盛り付ける
日本の焼き餃子の主な調理方法
日本の焼き餃子の作り方は、まずはじめ餃子を蒸し焼きにして、その後に水分を飛ばして餃子に焼き目をつけるという方法が用いられることが一般的です。
- 鉄板やフライパンの上に油を引き、火にかける
- 加熱した鉄板やフライパンの上に餃子を並べる
- その上から、適量の水、もしくはお湯を注ぐ
- 蓋をして、数分間餃子を蒸し焼きにする
- 数分経過したら、蓋を外して鉄板の水分を飛ばす
- 餃子に適度な焼き色がついたら完成
日本人が選ぶ餃子のつけダレ
日本では餃子を食べるときに、酢醤油やラー油をかけるのが一般的。
酢醤油やラー油以外にも、ポン酢やこしょうをつけて食べる地域があるなど、餃子のつけダレには様々な調味料が使われています。
- 酢醤油
- ポン酢
- ラー油
- ごまだれ
- こしょう
- お酢
- みそだれ
- ドレッシング など
近年の日本では、餃子を焼くときに水を加える必要のない、自然と餃子に羽根がつくように作られた便利な冷凍餃子が販売されています。
その他にも、生姜入り餃子、チーズ入り餃子、えび餃子、カレー餃子などが様々な餃子メーカーから販売されるなど、日本の餃子はバラエティ豊かです。
中国の餃子の特徴
- 皮が分厚く、もちもち食感
- 餡に使用される野菜は、キャベツよりも白菜が好まれている
- 焼き餃子よりも水餃子が主流
- 餃子にニンニクは入れない
- 餃子は主食として食べる
- 餃子は縁起の良い食べ物として認識されている
- ほとんどの家庭で自家製の餃子の皮を用意している
- 日本風の焼き餃子を日式餃子として提供するお店がある
- 中国には「餃子宴」と呼ばれる餃子のみのフルコースがある
中国の餃子の餡に用いられる具材
中国の餃子には、牛肉、羊肉、フカヒレなど中国独特の具材が用いられており、日本では食べることができない珍しい餃子がたくさん存在しています。
- 豚肉
- 牛肉
- 羊肉
- ロバ肉
- 白菜
- しいたけ
- えび
- ウニ
- サワラ
- フカヒレ
- 豆腐 など
中国での餃子は、おやつ代わりにつまんで食べる軽食としても親しまれています。
小腹が空いたときに気軽につまんで食べる軽食のことを点心といい、点心には餃子のほかに焼売、中華まん、小籠包、春巻き、ゴマ団子、杏仁豆腐などが有名です。
餃子の歴史の一部をざっくり紹介
餃子の発祥とされる地域には諸説がありますが、有力な説の一つに餃子は中国発祥という説があります。
餃子の歴史は古く、多くの説があるため、今回はその一部をご紹介します。
中国の遺跡で餃子の痕跡が発見される
餃子の歴史は古く、紀元前6世紀頃の中国春秋時代に誕生したという説があります。
その証拠に、中国の遺跡から壺に入った乾燥状態の餃子が見つかっており、大昔の中国では、人が亡くなったときにお供え物として餃子を供えていたと考えられています。
しかし、餃子の痕跡が発見されたのは中国だけではないため、残念ながら餃子が中国発祥なのかは断定されていません。
江戸時代にはすでに餃子が伝わっていた!?
日本の一般人に餃子が広まったのは第二次世界大戦後ですが、それ以前の江戸時代ではすでに餃子が食べられていたという説があります。
日本で初めて餃子を食べたのが水戸黄門でお馴染みの徳川光圀で、中国明王朝の儒学者、朱舜水(しゅ しゅんすい)が徳川光圀に餃子を伝えたとされています。
この頃の中国は、明王朝が滅んで清王朝が新たに成立した動乱の時期を迎えていました。
その影響があって、朱舜水は鎖国中の日本へ救援を求めるために日本へ派遣されたり、日本へ亡命した時期があったりと、数回に渡って日本を訪れています。
訪日した朱舜水をはじめとする中国の文人たちは、日本の大名たちに招聘(しょうへい)され、もてなしを受けました。
徳川光圀も中国の文人を招聘した大名の一人で、朱舜水と出会うに至りました。
こうして出会った後に、様々な交流をする中で、朱舜水はラーメンや餃子などを光圀に振舞い、中国の食文化を体験してもらったといいます。
徳川光圀は朱舜水を敬愛していたとされるほど二人は仲が良く、朱舜水は水戸学にも影響を与えたといわれています。
餃子に含まれる栄養素とカロリー
餃子は中華料理の代表的なメニューとしての認識以外にも、栄養バランスの良い健康的な食べ物としても認識されています。
餃子がなぜ健康に良いとされているのか、その理由について少し触れてみましょう。
餃子に含まれる栄養素
餃子の餡に使用する食材にもよりますが、一般的な餃子には人間が健康的に活動をする上で必要不可欠な五大栄養素全てが含まれています。
日本の餃子で最もポピュラーな餃子といえば、豚ひき肉、キャベツ、ニラ、白菜などを餡の具材として用いる豚肉入り餃子ですが、豚ひき肉からはタンパク質や脂質、キャベツやニラなどの野菜類からはビタミン、ミネラルを摂取することができます。
さらに、餃子の皮は小麦粉を原材料としているため、炭水化物も摂取することが可能です。
使われる食品 | 摂取できる栄養素 | |
餃子の餡 | 豚ひき肉、ニラ、白菜、キャベツなど | ・タンパク質 ・脂質 ・ビタミン ・ミネラル |
餃子の皮 | 小麦粉 | ・炭水化物 |
このように、餃子を食べるだけで健全な栄養バランスを保てることから、餃子は完全食と呼ばれています。
餃子1個あたりのカロリーは?
餃子は焼いたり茹でたり揚げたりと、色々な方法で調理される料理です。
焼き餃子や揚げ餃子を調理するときには油を使いますが、水餃子や蒸し餃子の場合は調理のときに油は使用しません。
そのため、焼き餃子や揚げ餃子は、油を使わずに調理をする水餃子や蒸し餃子と比べると、少しカロリーが高くなります。
餃子1個あたりのカロリー目安
- 焼き餃子:1個40kcal程度
- 水餃子:1個30kcal程度
豚肉の代わりに鶏肉を使えばヘルシーな餃子が作れます
ダイエットをしているなどの理由で、餃子1個あたりのカロリーを少しでも抑えたい人は、餃子の餡に用いる具材に鶏肉を用いることで、カロリーを抑えることができます。
鶏肉は豚肉に比べて油分が少なく、高たんぱく低カロリーな食材のため、ダイエットには最適です。
まとめ
以上、今回は餃子について色々と書かせていただきました。
餃子は遥か昔から存在する歴史ある食べ物だということを知れば、普段何気なく食べている餃子の味わいも少し変わってくるのではないでしょうか。
今回の記事では、日本と中国の餃子に焦点を当ててご紹介しましたが、餃子は世界各国で親しまれている料理です。
もちろん餃子という名前で各国に存在しているわけではなく、中に入れる具材もその国によって特色があります。
近々ご家庭で餃子を作る予定がある方は、他の国の餃子に使われている食材を入れるなど、普段の餃子とは違った餃子を作ってみるのも楽しいかもしれません。
餃子を通して、世界の食文化を体験してみてはいかがでしょうか。