この記事では、前菜の役割について解説するとともに、おうちで作れる中華料理の定番前菜メニュー5品をご紹介しています。
今回ご紹介する料理が中華の前菜の全てではありませんが、手軽に作ることができるメニューをピックアップしてご紹介していますので、是非ご覧ください。
コース料理で出される前菜にはどんな意味がある?
前菜とは宴席やコース料理のはじめに提供される料理のことです。
日本では前菜のことをお通し、突き出し、酒の肴などと呼びますが、中国ではチェンツァイ、欧州ではオードブルやアンティパストなどと呼ばれています。
前菜にはメイン料理をより美味しく食べるために食欲を掻き立てる役割や、食前のお酒を楽しむためのおつまみとしての役割があるなど、宴席には欠かせない料理です。
家でご飯が用意される前に梅干しを一つつまんで食べることで、食欲を掻き立てられたというような経験は誰しもあると思いますが、こうした状況での梅干しは前菜の役割を果たしていると言えるでしょう。
また、宴席のはじめにどんな内容の前菜を提供するかによって、その宴席のレベルが決まってしまうため、前菜はこれから始まる宴席の格調を示すという重要な役割も担っていることになります。
そのため、高級料理店など格式高いお店では、ゲスト達にこれから始まる宴席への期待を膨らませてもらうために、その席を囲む全員が楽しめるよう工夫された前菜が必ず提供されています。
前菜の主な3つの役割
- メイン料理をより美味しく食べるために食欲を掻き立てる役割
- お酒の肴、アテ、おつまみとしての役割
- これから始まる宴席のレベルを示す役割
前菜はそのお店の個性を示せる絶好の場
宴席のメインとなる料理に、お店独自のアレンジを加えすぎることはリスクを伴います。
個性が強すぎるメイン料理がゲストの嗜好に合わなければ、満足してもらえないからです。
その一方で、おつまみ程度に提供する前菜には、お店独特の個性や嗜好を出しやすいという特徴があります。
「当店の料理には、化学肥料や農薬を一切使わずに栽培した有機野菜のみを使用。」
こうした強みを持つお店がわざわざこのような説明をせずとも、有機野菜のみを使用した遊び心のある前菜をゲストに提供するだけで、野菜にこだわりのあるお店ということをダイレクトに伝えることができます。
工夫を凝らした独創的な前菜を提供することで、作り手の創作意欲も満たしながら、同時にゲストのメイン料理に対する期待感も高めることができるため、前菜を通してお店の個性を表現することはとても効果的といえるでしょう。
押さえておきたい中華料理の前菜の代表的なメニュー5品を紹介
中華料理の前菜はじつに多彩で、魅力的なメニューがいくつも存在しています。
今回は、数ある中華料理の前菜の中でも特に定番とされ、おうちでも作りやすいメニューをピックアップしてみました。
- 棒棒鶏 バンバンジー
- 口水鶏 コウシュイジー
- 涼拌海蜇 リャンバンハイチョー
- 涼拌三絲 リャンバンサンスー
- 叉焼肉 チャーシュー
今回はこちらの5品をご紹介したいと思います。
棒棒鶏 バンバンジー
バンバンジーは、茹でた鶏肉を食べやすい大きさに切り分け、その上に唐辛子やラー油を効かせた辛味のある胡麻ソースをかけた四川料理です。
中国において棒棒鶏を作る際には、芝麻醤(チーマージャン)と呼ばれる、すり潰した胡麻と植物油を混ぜてペースト状にした調味料が使われます。
棒棒鶏のレシピ
材料 (2人分)
- 鶏のむね肉:1枚
- キュウリ:1本
- ねぎ:1本
- 生姜:適量
タレの材料
- 芝麻醤:大さじ1杯
- 醤油:大さじ1杯
- お酢:大さじ1杯
- 砂糖:大さじ1杯
- ごま油:大さじ1杯
- ラー油:小さじ1杯
- 生姜:適量
棒棒鶏の作り方
- 鶏肉を熱湯で茹で、食べやすい大きさに切り分ける
- キュウリを千切り、もしくはピーラーで薄くスライスする
- カットしたキュウリをお皿に盛り付け、その上に鶏肉を盛り付ける
- タレの材料を全て混ぜ合わせる
- 盛り付けた鶏肉にタレをかければ、完成
棒棒鶏という名前の由来は、調理するときに茹でた鶏肉を棒で叩いて柔らかくすることからきています。
日本の棒棒鶏は、茹でた鶏肉のほかにもキュウリやくらげを添えて盛り付けられることが一般的ですが、中国では蒸した鶏肉のみで作られることが一般的です。
コンビ二食材を使えば手軽に棒棒鶏風サラダを作れます
コンビ二で販売されているサラダチキンを食べやすい大きさに切り分け、キュウリやトマトを添えて、ラー油や唐辛子で辛めに味付けした胡麻ソースをかければ棒棒鶏風サラダの完成。
鶏肉に添えるキュウリは千切りにしたり、ピーラーで薄くカットしたりすることで、見栄えの良い棒棒鶏を作ることができます。
サラダチキンは200円~300円程度で購入できるため、一から料理をするのが面倒なときに試してみてはいかがでしょうか。
本格的な棒棒鶏を再現するためにはタレが重要
四川料理といえば、痺れるような辛さを味わえることが大きな特徴です。
棒棒鶏は四川料理の代表的なメニューでもあるため、ラー油や唐辛子、ごま油を効かせた辛味のある胡麻ソースをかけることが、本格的な棒棒鶏を再現する重要なポイントになります。
口水鶏 コウシュイジー
口水鶏は、茹でた鶏肉にラー油をベースにした真っ赤なタレをかけた四川料理です。
日本ではよだれどりという名前で広まっており、よだれが出るほど美味しい料理ということからこの名前がつけられたといわれています。
口水鶏のレシピ
材料 (2人分)
- 鶏のむね肉:1枚
- ピーナッツ:適量
- パクチー:適量
- にんにく:適量
- ねぎ:適量
タレの材料
- 醤油:大さじ1杯
- 砂糖:大さじ1杯
- お酢:大さじ1杯
- ごま油:大さじ1杯
- ラー油:大さじ2杯 (辛めにしたい場合は多めに用意する)
自家製ラー油の材料
- 菜種油
- 花椒
- 八角
- 桂皮
- 唐辛子
- 粉唐辛子
作り方
- 鶏肉を塩ゆでにし、冷ましてから食べやすい大きさに切り分ける
- フライパンに菜種油を入れて、自家製ラー油の材料全てを加えて加熱する
- 加えた香辛料の色が変わってきたら火を止めて冷ます
- お皿にタレの材料を全て加え、冷ました自家製ラー油を加えて混ぜる
- 切り分けた鶏肉をお皿に盛り付け、作ったラー油ソースをかける
- その上に砕いたピーナッツをまぶし、パクチーを盛り付ければ完成
本場中国の口水鶏を再現する場合は、自家製ラー油を作ってたっぷりとかけるのがポイント。
パクチーや砕いたピーナッツも良いアクセントになります。
涼拌海蜇 クラゲの和え物
涼拌海蜇はクラゲをお酢や醤油などで和えた中華料理の代表的な前菜メニューです。
リャンバンハイチョという読み方で、涼拌は冷菜、海蜇にはクラゲという意味があります。
涼拌海蜇のレシピ
材料 (2人分)
- 塩クラゲ:40g
- きゅうり:1/2本
- 長ネギ:1/2本
- トマト:1個
タレの材料
- 醤油:小さじ1杯
- 黒酢:大さじ2杯
- ごま油:大さじ1杯
- 砂糖:小さじ1/3杯
- すりおろしにんにく:適量
- 塩:適量
作り方
- 塩クラゲを30~40分ほど水につけ、塩抜きをする
- きゅうりは千切り、トマトは半月切りにする
- 長ネギを細めにカットして白髪ねぎを作る
- タレの材料を全て混ぜ合わせる
- 塩抜きが完了したクラゲを水でよく洗い、食べやすいサイズに切り分ける
- カットした野菜類とクラゲをお皿に盛り付け、タレをかければ完成 (クラゲをタレで和えるのもおすすめ)
中国においてクラゲは気管支炎や便秘、胸の痛みなどを和らげる効果のある健康に良い食べ物として広く認知されており、健康のために好んで食べられています。
涼拌三絲 春雨サラダ
涼拌三絲は春雨サラダのことです。
主に材料に使われるのは、春雨のほか、クラゲ、ハム、キュウリなど。
これらの食材を千切りにしてお酢や醤油などの調味料で和えた料理が涼拌三絲です。
リャンバンサンスーと読み、涼拌は冷菜、三絲には三種類の食材を千切りにするという意味があります。
涼拌三絲のレシピ
材料 (2~3人分)
- 春雨:40g
- ロースハム:40g
- 乾燥キクラゲ:3g
- キュウリ:1本
タレの材料
- 醤油:大さじ1杯
- お酢:大さじ3杯
- 砂糖:大さじ1杯
- ごま油:小さじ1杯
- ラー油:小さじ1杯
- 塩:少々
作り方
- 春雨を茹でる
- 茹で上がった春雨を冷水で洗って水気を切り、食べやすい大きさにカットする
- 乾燥キクラゲは戻して千切りにする
- ハムとキュウリを千切りにする
- タレの材料を全て混ぜ合わせる
- 春雨、キクラゲ、ハム、キュウリをタレで和え、お皿に盛り付ければ完成
お酢には疲労回復効果や食欲増進効果があるため、中華料理の前菜には最適なメニューです。
叉焼 チャーシュー
叉焼は豚肉のブロックを焼いた料理で、保存食としても扱われます。
中国料理において、チャーシューは日本のようにラーメンの上に乗せて食べるわけではなく、コース料理の前菜としてチャーシューをそのまま食べることが主流です。
叉焼肉のレシピ
材料
- 豚肉(肩ロースブロック):500g
漬け込み用タレの材料
- 醤油:大さじ2杯
- 甜面醤:大さじ2杯
- 芝麻醤:大さじ1杯
- 紹興酒:大さじ1杯
- 塩:小さじ1/2杯
- すりおろし生姜:小さじ2杯
- すりおろしにんにく:小さじ1杯
- 卵黄:1個
仕上げ用の水飴の材料
- 醤油:小さじ1杯
- 砂糖:大さじ4杯
- 水:大さじ2杯
作り方
- ボールにタレの材料を全て入れて混ぜ合わせる
- 豚肉のブロックをたこ糸で縛る
- 先程作ったタレに豚肉を入れ、豚肉全体にタレを絡めて揉む
- タレと豚肉をタッパー等、他の容器に入れる
- 冷蔵庫で1日寝かせる (たまに裏返すなどして豚肉全体にタレが染みこむようにする)
- タレに漬け込んだ豚肉を180℃に熱したオーブンで20~30分ほど焼く (まんべんなく全体に火が通るように、たまに裏返しながら焼く)
- ある程度焼けてきたら、豚肉に串を刺し、焼きあがっているか確認する (赤い肉汁が出なければ焼けている)
- 仕上げの水飴用材料を全て鍋に入れ、煮立てて水飴を作る
- 焼きあがった豚肉の表面に水飴を塗る
- 180℃のオーブンで両面を焼けば、完成 (片面10分程度焼く)
チャーシューはご家庭で作るには少し手間がかかりますが、中華料理では欠かせない定番の前菜料理のため、今回取り上げさせていただくことになりました。
中国料理では前菜も大皿料理として提供される
中国料理店では、注文した料理は大皿料理として提供されることが一般的で、前菜も例外ではありません。
大皿に盛り付けられて提供された料理を各自で小皿に取り分け、みんなで一つの料理をシェアして食べます。
そのため、みんなが気持ちよく料理を楽しめるよう、食事の取り分け方に気を配るなど、食事マナーを守るようにしましょう。
まとめ
以上、今回は中華料理の代表的な前菜をご紹介するとともに、前菜の役割についてもお話しさせていただきました。
- メイン料理をより美味しくいただくために食欲を増進させる役割
- お酒の肴、おつまみとしての役割
- これから始まる宴席の格調を示す役割
前菜にはこのような大切な役割があるため、コース料理や宴席には欠かせない料理です。
普段料理をされない方からすると、中華料理を一から作るというのは少し難しいと感じるかもしれませんが、今回ご紹介した中華料理の前菜であれば比較的簡単に作ることができますので、一度挑戦してみてはいかがでしょうか。
コンビ二で販売されている食材などを使えばさらに簡単に料理ができます。
そのような食材をうまく活用して中華料理の前菜を作ってみましょう。