日本で親しまれている代表的な料理には中華料理があります。
中華料理を想像すれば、ラーメンや餃子、チャーハン、焼売、麻婆豆腐に肉まんなど、様々なおいしい料理が思い浮かぶことでしょう。
しかし、これらの料理は中華料理と総称して呼ばれているにも関わらず、街中で見かける中華料理店の看板には北京風や四川風などと書かれていることがよくあります。
このような看板を見たとき、実際なにがどう違うのかと思ったことがある人も多いはず。
今回の記事では、そんな疑問を解消できるように中華料理の種類について詳しく解説したいと思います。
中華料理の種類は大きく分けて4種類が存在する
日本で親しまれている中華料理は、四大中華料理と呼ばれる4つの種類に分類されることが一般的です。
四大中華料理には、北京料理、四川料理、広東料理、上海料理があり、使われる食材や味付けに違いがあるなど、それぞれの料理に特徴があります。
四大中華料理の分類
- 北京料理
- 四川料理
- 広東料理
- 上海料理
四大中華料理の特徴と代表的なメニューを紹介
四大中華料理の北京、四川、広東、上海という4つの分類は、中国全土を東西南北で大きく4つの地域に分類したものです。
- 北京料理:北方系
- 四川料理:西方系
- 広東料理:南方系
- 上海料理:東方系
それぞれの料理に違った特徴がありますので、詳しく見ていきましょう。
北京料理
中国北方に位置する代表的な都市である北京を中心とした華北地方発祥の料理が北京料理です。
中国王朝が北京を首都として定めた後の時代に中国貴族が食べる宮廷料理が北京料理の原点だと考えられており、見栄えの良い料理が多いことが大きな特徴の一つ。
北京では小麦や雑穀が豊富に収穫できるため、小麦粉を原材料とする餃子や麺類が盛んになりました。
魚料理よりも肉料理が多く、肉料理には羊肉が用いられることでも有名です。
北京料理の特徴
- こってりした味つけで、塩味が強めの料理が多い
- 唐辛子や醤油を多用する
- 揚げる、炒める、長時間煮る、あんかけなどの多彩な調理方法が用いられる
北京料理の代表的なメニュー
- 北京ダック
- ジンギスカン
- ジャージャー麺
- 饅頭(マントウ)
- 餃子(チャオズ)
- 羊の鉄板焼き
四川料理
四川料理は香辛料を効かせた刺激のある料理が多く、痺れるような辛さを味わえることが大きな特徴です。
中華料理には、麻辣(マーラー)、香辣(シャンラー)、煳辣(フーラー)、糟辣(ザオラー)、酸辣(スアンラー)、鮮辣(シェンラー)という辛さを表す6つの言葉があり、四川料理は痺れる辛さを意味する麻辣を味の特徴とした中華料理として認識されています。
痺れるような辛味を出すために多種類のスパイスが使われることで、麻婆豆腐のような真っ赤な色合いの料理があることも大きな特徴。
中国の西方に位置する四川地域に住む人々は、多種類のスパイスをふんだんに使った辛味のあるスタミナ満点の四川料理を食べることで、夏バテや冬の厳しい寒さを乗り切っています。
四川料理の特徴
- 香辛料を効かせた辛い味付けの料理が多い
- 花椒や唐辛子を多用した真っ赤な料理がある
- 痺れるような辛さを味わえる
四川料理の代表的なメニュー
- 麻婆豆腐(マーボードウフ)
- 回鍋肉(ホイコーロー)
- 魚香肉絲(ユーシャンロースー)
- 大千干焼魚(ダーチェンガンシャオユー)
広東料理
広東地域は食材の宝庫と呼ばれるほど、様々な食材が豊富に収穫できることで有名です。
中国南方に位置する広東地域は海沿いであるため、新鮮な魚介類がたくさん獲れます。
温暖で冬は雨が少ない気候から、多種類の野菜やフルーツを育てることも可能です。
代表的な料理にはパイナップル入りの酢豚やあんかけ蟹玉などがあり、甘酸っぱい味が特徴的です。
広東料理ではフカヒレやアワビなどの新鮮で高級な魚介類が用いられるため、料理の値段が高くなる傾向があります。
広東料理の特徴
- 甘酸っぱい味の料理が多い
- 温暖な地域で育てた野菜やフルーツを使った料理である
- フカヒレやアワビ、ツバメの巣などの高級食材を使った料理がある
広東料理の代表的なメニュー
- 酢豚
- フカヒレスープ
- かに玉
- 焼売(しゅうまい)
- 八宝菜
上海料理
上海は中国東方地域の都市で海が近く、エビやカニなどを主とした魚介類が豊富に獲れることで有名です。
温暖な気候で米が育ちやすく、米料理が多いという特色もあります。
調理には酒や酒粕、醤油に黒酢などの醸造品が多く使われるため、濃厚で甘めの味が特徴的。
その他にも、上海料理では素材の味そのものを生かした調理方法が用いられることも多くあり、そうした調理方法の代表的な料理には上海蟹の姿蒸しが挙げられます。
上海料理の特徴
- 海が近い地域のため、海の幸を使った魚介料理が多い
- 一尾の魚の各部位を使って20種類以上の料理が作られる
- 味付けには上海の濃口醤油が使われることが多い
上海料理の代表的なメニュー
- 小籠包(ショウロンポウ)
- 五目チャーハン
- 上海焼きそば
- 上海蟹の姿蒸し
- 海老の唐揚げ
中華料理と中国料理は同じではない
中華料理は、本場の中国で食べられている中国料理を日本人好みの味付けや調理方法でアレンジした料理のことを指しており、厳密にいえば本場の中国料理と中華料理は同じ料理ではありません。
日本人が日頃よく食べるラーメンや天津飯などの中華料理は、日本人が中国料理を元にアレンジして作り出した日本発祥の料理だといわれています。
その他にも、中国本土で食べられている中国料理の餃子といえば水餃子を指しますが、日本で食べられている中華料理の餃子といえば焼き餃子を指すことが一般的です。
そして、日本で食べられている中華料理は四大中華料理に分類されることが一般的ですが、本場中国の中国料理は八大菜系と呼ばれる8つに分類されることが一般的で、日本の中華料理よりも細かく分類されています。
中国料理の八大菜系の種類は以下になります。
- 山東料理 (さんとうりょうり)
- 四川料理 (しせんりょうり)
- 湖南料理 (こなんりょうり)
- 江蘇料理 (こうそりょうり)
- 浙江料理 (せっこうりょうり)
- 安徽料理 (あんきりょうり)
- 福建料理 (ふっけんりょうり)
- 広東料理 (かんとんりょうり)
このように、本場の中国料理は、日本で親しまれている四大中華料理の地域分類よりも、さらに細かく地域分類されています。
まとめ
以上、今回は四大中華料理の種類と特徴について解説いたしました。
四大中華料理というのは、中国の広い国土を4つに分けた、北京地域、四川地域、広東地域、上海地域で食べられている料理のことを指します。
この4つの地域の料理にはそれぞれ異なる特徴があり、同じ中華料理であっても調理方法や使われる食材に違いがあります。
四大中華料理の特徴まとめ
- 北京料理:宮廷料理が原点とされているため、見栄えの良い料理が多い。餃子や麺類などの小麦粉を原材料とする料理が多く、こってりとした味付けで塩味が強い。
- 四川料理:痺れるような辛さを味わえるスパイスたっぷりで真っ赤な色合いの料理があるなど、スパイスたっぷりで刺激的な辛味の料理が多い。
- 広東料理:温暖な気候の元で育てられる野菜やフルーツを使ったり、フカヒレやアワビなどの高級な海の幸をふんだんに使ったりするなど、使用される食材のレパートリーが豊富。甘酸っぱい味付けが特徴。
- 上海料理:海老や蟹を主とした魚介類を多用した料理が多いことで有名。上海蟹の姿蒸しのような素材の味を生かした調理方法の料理もあれば、酒や醤油、黒酢などの醸造品を使った甘辛くて濃厚な味つけの料理もある。
四大中華料理には、このような大きな特徴が存在します。
中華料理店で外食をする際に、自分の好みに合った中華料理店を選べるようになるためにも、今回ご紹介した四大中華料理の違いを把握しておきましょう。